West Clay Wall(西の土壁)

少し語ろうか

これはさすがにしんどかった。。

難敵「西の土壁」

写真の通り、土壁が全部で9面。1番右側から始めて、1番左の最後の壁を塗り終えようとする瞬間!の写真です。
西の土壁。スケルトンにしないと分からない、母屋改修の難敵の一つ。難敵はとりあえず放置して、一番マシな東を直して とりあえずの居住空間を作り、南、北と改修し、梅雨明け頃から難敵である「西」を攻めました。

家を直すとは

家というものは、そもそも使える状態でそこにある。というのが、現代人からしたら普通の事です。ですから、家を直すというのは、マイナスをゼロにする事で、がんばって直しても、何か機能がプラスされ、快適になる~。なんてことはありません。
壁が直れば、壁が出来た。。。というだけ。ただ、放っておけば、崩壊が進み、すきま風ビュービュー、虫さんや小動物も出入りします。なので、直すしかない。

Tender-Squareのコンセプト

「近代科学技術を利用した 土地 / 労働 / 知識 の心地よい融合」なので、今の技術で機能を足していきたいところですが、まずは、ゼロに戻す作業を未だにコツコツやっております。絶対にどこかで反転攻勢だ!!
このような精神状態の中、黙々と直す作業をする(しかない)。というのは、なかなか心が折れます。

土壁は美しい

とはいえ!出来上がった壁は、とても美しい。
これは荒壁です。この後、中塗り壁を塗れば、さらにマットな美しい壁となります。
土壁の構成は、荒壁、中塗り壁、仕上げ壁。順に割れにくい土を塗っていきます。仕上げ壁は漆喰や砂壁ですね。私は、中塗り壁の質感が好きなので、中塗り壁で止めています。中塗り壁ですきま風は止められる(テクニックがある)ので。
そうそう。エアコンを取り付けている壁は中塗り壁です

この写真が着手直後です。なぜ、家の中にユンボがww この話は追い追い。。

古民家の木は強い

写真では見えませんが、この家は基本、シロアリさんにやられています。元々は布基礎で床下は土むき出し。さらに、雨水の治水がうまくいっておらず、雨水が入って来たり、床下の土に水路があって、床下が常にお湿り状態(というか北側と西側は常に濡れていた)。。。となれば、シロアリさんの格好の餌食になるのは明白です。
この母屋が建ったころ(江戸末期か明治あたりで、違うところから移築したらしい)は、土間と床(畳)の構成でしょう。そこから、何度か改修を繰り返しています。
写真の右側に杉の板が横に並んで張られているのが見えますが、これは土壁を壊して改修したモルタル壁ですね。
ユンボの下の床はコンクリです。改修時に土間をコンクリにしたのでしょうね。
その他、写真で土が見えているところは、元々、今の木材(杉とか)で束材/大引き/根太/床材が作られていました。改修時期は、おそらく30年,40年前。この、改修で使った木々(杉)は、ことごとくシロアリに食べられボロボロでした。ただ、この写真で見えている移築当時の柱や梁は(色が濃い柱や梁ね。色が濃いのは柿渋が塗ってあるからなのでしょう。)、杉ではない。楓、ナラ、クヌギ、栗などの広葉樹。これらは、湿っている床の大引きはかなり食われているところがありますが、それでも「芯」が食われていない(というか硬くて食えないのだろう)。そこに感動し、この母屋を改修しようと決意したのです。家といえば杉という現代建築では、出せない強さです。広葉樹はノコギリで切っても硬い。縁側の床材は楓なのですが、厚みが25mmぐらいあって、永久に使えそうな頼もしさがあります。香りも良いです。

とはいえ補修

と、広葉樹は強いと言いながらやっぱりかなりやられているところもあり、一番右の壁の上にある梁と右から5面/6面の間の梁。
一番右の壁の上にある梁は中までやられていて、柱が突き抜けていました。他の壁が支えていたのですが、よく耐えてたな。。新たな柱を横に立ててボルトで縫って補強。
5面/6面の間の梁は、最初の写真と比べてもらえると分かりますが、柱を1本増やしています。そのぐらい中がやられていて強度に不安を感じたからです。この梁。西側の屋根上の荷重をほとんど支えることになっていた(横の梁の方が太いのに なぜw)。

右から5面/6面の間の梁

左より見る
真ん中の柱を追加

右より見る
梁が左右側も手前奥側も食われているので補修

一番右の壁の上にある梁

室内側より見る
手前の柱を足しています

外から見る
梁が食われて無くなって、柱が突き抜けています

都度、状態を見ながら補修方法を考え実践する。
マニュアルは無いし、熟練の大工さんでも、これはなかなか手ごわいと思います。
今までの知識を総動員する瞬間です。体も使いますが、頭も結構使います。怪我もします(泣)。。
なので、とても疲れる。

さて、壁の話

壁の役割は風を通さないことですが、そのほかに断熱や耐震性に利きます。
断熱性能は土なので ある程度のあきらめが必要。現代の断熱材には到底およびません。(が、外側に貼る透湿防水遮熱シートで何とか性能アップしようとあがきます)。

土壁の耐震性

とても悩んだのは耐震性。現代建築では、壁量(へきりょう)といって、家全体の壁に耐力壁という強い壁を家の一部で作って、耐震性を決めます。結論、土壁に対する壁量は分かりません。。。というか、土壁の施工要領はあるんですが、土、砂、スサ(藁)と書いてあるだけなので使う土によって強度が変わるだろうし、土を塗る竹の下地を「こまい」と言いますが、これも使う竹の太さや種類が自由なので、この材料を使ってこのように施行すれば、これだけの耐力壁が得られるという標準が実質無いようなものです。知見が徐々に蓄積されつつありますが、そこまで考えて超手間がかかる土壁にしますか??って事ですね。面倒だから、直さずに壊して、立て替えてしまうんですね。古民家は。

耐力壁

耐力壁で最も強いのは、合板を貼る事です。合板を貼れば、柱が斜めになれないので、いかにも強そうですよね。2×4工法が代表です。全部合板貼ったら簡単には壊れないでしょう(この貼り方にもテクニックがあるのですが)。耐震構造の完成です。
この合板貼りを古民家にやってしまうとどうなるか。そこは強いが他が壊れるんですね。土壁の良いところは、地震時に適度に壊れて揺れを吸収する。壊れることで致命傷を免れるという構造なのです。

こわい直下型地震

ただ一点気を付けないといけないのは、阪神淡路大震災にあったような直下型地震で、下から突き上げられると柱と梁がすっぽ抜けて、一気に崩れる。これは避けないといけません。鼻栓やこみ栓がキチンとあって、生きているかを確認します。無ければ、耐震金物ですっぽ抜けを防止します。よーく見ていると、鼻栓やこみ栓が有ったり無かったりするんですよね。。 おそらく、地震に対してという考えで鼻栓やこみ栓をこしらえたという事ではない雰囲気が。。。

結局、勘と運

すっぽ抜けず、適度に壊れる土壁。というのを調べて、信じて、実践するのが大変でした。
結局、、ですよ。実際に地震が来ないと、耐震性があるかどうか分からないのです。。
結論、勘と運なんですよね~。家に命を預けますが、勘と運って。。。いずれ、寝室は2×4工法の部屋にします!

では、土壁に地震時に適度に壊れるという機能を持たせようとして、改めて西の壁を見ますと、、、

もう壊れていますw

上には大きな隙間。下は、、、小動物の巣があったような穴とワラの玉。。。実際、裏側の波板を外したら、ヘビさんが出てきました!
と、とても機能を発揮するような壁ではありませんね~
結局、西の壁は一度全部壊すことになります。壊す時、バールでゴン!と一度叩くとバサーッと崩れる状態!西の壁は使えん壁でございました。

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